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ふねしゅーの日本探訪/其の拾伍 子連れドライブ信越旅行 小布施



幕府御用達の栗の名産地にして、葛飾北斎ゆかりの町


1000円高速 渋滞覚悟の出発

 少し前になるがゴールデンウィークの話。我が家では渋滞覚悟で車を借りて、ドライブ旅行に出かけた。以前車を持っていたときにETCを付けていたので、噂の1000円割引が使えるのだ。

 初日、朝7時のレンタカー屋の開店時刻に店に行くと、すでに行列。これから借りる人と、返しに来た人でごった返していた。返却の兄ちゃんが1人憮然とした表情で「燃料計の減り方が異常に早かった、故障していたのではないか」と苦情を申し立てていたが、貸し出し客優先で後回しにされていて、ちと哀れ。といっても借りる側としては1分でも早く出発し、渋滞は不可避としても、少しでも先に進みたいのだ。

 レンタカー屋の店内ではおとなしい長男も、車という閉鎖空間に入ると饒舌になる。彼は1週間前からずっと「来週、車ね」と楽しみにしていたのだ。昨日も「来週」と言っていたのを「明日」と訂正してあげたが、それがついに「今日」になったことをどのくらい理解しているのかは不明だ。とりあえず「スピード出た」などと言ってはしゃいでいる。

信越
【関越道/高坂SA】

 ところで今は厄介なことに、子供は専用席を用意しなければならないという法律がある。そして我が家のように2歳児と0歳児がいる場合、チャイルドシートとベビーシートが共に必要なのだが、いずれも後部座席でないとまかりならん、という決まりになっている。ベビーシートは後ろにして、チャイルドシートは助手席にしたいのだが、レンタカー屋の安全規定でだめのきだそうだ。かくして私が運転の場合、妻は後部座席の中央、チャイルドシートとベビーシートに挟まれ、妻が運転の場合、私が逆の立場になった。子供の安全のためとはいえ、窮屈極まりない。

 しかし、それ以上に窮屈なのは高速道路。予想以上の、のっけからの大渋滞。分かっていたこととはいえ、もう少し流れてはくれないものか。サービスエリアも大混雑。関越道、渋滞情報の常連花園インターを越えても、藤岡ジャンクションを過ぎて、上信越道に入っても、渋滞はさっぱり解消されず、このまま碓氷峠かとさすがに暗澹たる気持ちになった頃、ようやく空き始めた。すでに正午を回った。予想よりさらに遅れているが仕方がないか。

 弘前さくらと博多どんたくに次いで、日本3位の人出が予想される善光寺御開帳の吸引力だろうか、この先の長野市前後は、また渋滞しているようだ。おそろしや。そんな電光掲示の情報を横目に、我々は手前の上田菅平インターで降りた。ラグビー合宿で有名な菅平高原を越えて、最初の目的地小布施町に向かうのであった。

信越
【小布施の町並み】

信越
【小布施の町並み】

栗の小径に北斎館  観光資源をうまく活かした小布施の町並み

 長野県小布施町は、栗の名産地でかつては幕府御用達だったとか。当時の街並みを活かしたまちづくりの上手さに定評があり、一度訪れたいと思っていた。駐車場に行き着くのにちょっと苦戦したが、停める場所があってよかった。

 正確なところは知らないが、古い街並みがそのまま完全に残っているのではなく、一定の範囲で、新しいお店なども昔の様式で建てている。そうすることで、栗の小径などと名付けられた通り全体の雰囲気を維持し、散策する楽しさを提供しているという感じだ。

 老舗の和菓子屋や、和紙の店、懐かしい丸型のポストが並んでいた。我が家は栗ソフトクリームを買い、まだ食べられない長女を除く3人で分けあった。予想以上に濃厚な栗の味が効いていたが、半分以上を食したのは、美味しいものに目がなくなってきた長男であった。

信越
【小布施の町並み】

信越
【小布施の町並み】

 ところで、栗と並んで小布施の観光の目玉とされているのが、葛飾北斎である。希代の引っ越し魔といわれた彼は、その晩年の一時期、小布施に住んでいたのだという。その縁を活かして北斎の作品を集めた北斎館があった。

 私は以前、妻に連れられ国立博物館の北斎展を観賞したことがあるが、彼がすごい(というか江戸時代がすごい)のは、浮世絵にせよ、絵の描き方を説明したような指南書の類いにせよ、一部の特権階級向けの「芸術」ではなく、一般町人でも買える「娯楽」になっていたことだ。

 小布施の北斎館には、地元のお祭りで使われた大きな山車、そこに描かれた龍や鳳凰、波の絵が展示されていた。これまた北斎の作品が、庶民文化と見事に融合していた証しといえる。

 基本乳母車で寝ているだけの長女と、自由に歩き回りたい長男の面倒を交互に見つつ、私と妻は交替で観覧し、そして夕方4時を回って、そろそろ行かねばと、小布施を後にすることにした。

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【野尻湖】

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