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チャリダー養成講座/第八回 輪行とはなんぞや



効率よく、ときには列車やバスも利用したい。そのとき自転車はどうする?

 輪行とは耳慣れない言葉かと思います。自転車を分解して所定の袋に収め、公共交通機関に載せることを輪行といいます。輪行をするために必要なものが輪行袋です。もともとは競輪選手が自転車を搬送するために用いていたものだと聞いたことがあります。

 自転車の種類(ランドナーかマウンテンかレーサーか)によって、輪行の仕方や輪行袋の種類も若干に異なりますが、タイヤなどをはずして分解し、小さく収納するというのが輪行の基本です。日本のバスや鉄道は輪行せずに自転車を載せることができませんから、学生時代サイクリング部に入部した私が最初に教わったことといえば、パンク修理と輪行でした。

●輪行の仕方

 特に難しいことはありません。一番簡単なのはタイヤをはずすだけの場合です。自転車を、フレームと、前輪、後輪の三つに分解し、互いに重ねます。ランドナーの場合はハンドルもはずします。荷台や泥よけがある場合はそれもはずし、ペダルをはずすこともあります。要は輪行袋に収まればいいわけで、その点においては大きめの輪行袋を用意すると楽ちんです。輪行袋の中で各パーツがぶつかり合って傷付かないように、紐で互いを縛ったり、緩衝材になるものを一緒に入れたりします。

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●鉄道輪行

 日本国内で最も一般的な輪行の形態です。自転車旅行をしない人でも、たまに駅のホームで大きな輪行袋を担いでいる人を見かけることがあると思います。日本の鉄道は輪行せずに、つまりそのままの形の自転車を載せることを許可していませんから、必ず輪行することが必要になります。JRの場合二七〇円の手荷物運賃がかかります。

 海外においては、輪行せずにそのまま載せられる国、所定の貨物車両に載せることを求められる国、無料で運べる場合、お金をとられる場合、いろいろありますので、その都度確認して下さい。自転車料金についてははっきり手数料が定まっていなかったり、係員によって対応が異なる場合もありますので、運が良ければ払わずに済むこともありますし、運が悪ければあとで難くせつけられて面倒事になることもあります。

エジプト/ナイル沿いの鉄道はそのまま載せられた
【エジプト/ナイル沿いの鉄道はそのまま載せられた】

●バス輪行

 日本の長距離バスの場合、荷物室に輪行した自転車を載せることができます。海外のバスもおおむね同様です。列車と異なり容積が限られるため、混雑している場合はまれに載せられないことがあるので注意して下さい。国によってはバスの屋根の上が荷台になっており、自転車もそこに積んでもらうことができます。その場合はむしろ輪行の必要がありません。

 自転車料金については鉄道と同様です。混んでいる路線、本数の少ない路線で、乗り遅れたくないなど安全を期したいときには、予約時など前もって正直に自転車を載せることを告げておいたほうがいいでしょう。そうでなければ、しらばっくれていたほうが、余計な手数料を請求されずに済むかもしれません。

アメリカ/長距離バス、グレイハウンドで輪行
【アメリカ/長距離バス、グレイハウンドで輪行】

●その他の車両の輪行

 その他の車両とは、トラックあるいはタクシーの場合です。トラックに載せるとはどういうことかといえば、一部の途上国においては公共交通機関すなわちバス網が未発達であるため、貨物を運ぶトラックがときに乗客を乗せてお金を稼いでいるということです。タクシーの場合もそうですが、人間の運賃自体が交渉制となり、自転車の分だけ水増し請求される可能性が大です。

●船輪行

 チャリダーにとって一番楽な乗り物が船です。なぜなら輪行の必要がなくそのまま載せられるからです。ただし日本の国内フェリーもそうですが、そのまま載せる場合は車やバイクと同様に所定の車両運賃をとられ、輪行した場合は手荷物扱いで無料となるなど、料金面で差のある場合も多くあります。

メキシコ/カリフォルニア湾を渡る船に載せる
【メキシコ/カリフォルニア湾を渡る船に載せる】

●飛行機輪行

 チャリダーにとって最も厄介な乗り物が飛行機です。もちろん輪行が必要ですが、飛行機の預け荷物は非常に乱暴に扱われるので、極めて慎重に収納することが求められます。鉄道やバスの場合は、例えば少しくらいハンドルが輪行袋からはみ出していようが大丈夫ですが、飛行機の場合はしっかりダンボールなどで保護したほうが無難です。変速機(ディレーラー)や後輪の軸を挟むエンド部分なども曲げられやすい箇所ですので、しっかり補強しましょう。

 タイヤの空気について。上空は空気が薄く破裂する恐れがあるから抜いたほうがいいという説と、荷物室はちゃんと加圧されているから抜く必要はないという説と、両方聞いたことがあります。ただ、空港の荷物検査の職員には、空気を抜いて下さいと言われたことがありますので、 私は毎回抜くようにしています。

 気になる自転車料金について。輪行さえしていれば、自転車だからという理由だけで課金されることはありません。問題は、日本発の北米線で30キロ、他路線で20キロといわれる預け荷物の重量制限です。自転車本体だけではそんなに重いはずはありませんが、ザックなどその他諸々の旅行荷物を含めると、制限を越えてしまう可能性は大です。実のところ、私は一度も過剰重量の料金をとられたことがありません。数キロ越えるくらいなので、見逃してもらえます。ただし、近年のテロ多発の情勢下、厳密に請求されることもあるようですので、その際は御容赦を。

限られた日程なら、奥の手は飛行機輪行だ
【限られた日程なら、奥の手は飛行機輪行だ】

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 比較されることの多いバイク旅行と自転車旅行ですが、輪行という手段が許されるのは、自転車の大きな大きな利点です。輪行を自在に使いこなせるようになれば、どんなに広い国も、巨大な大陸も、チャリダーにとっては、充分に挑戦の対象となりうる恰好の旅の舞台となるのです。

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