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自転車世界一周の旅/第128話 パンジャブ平原を越えて、中央アジアの入口ペシャワールへ


 アーシュラー見学の帰り道、十数名いたはずのリーガルインの宿泊者たちはいつのまにか散り散りになっていて、僕はゴッチンと歩いていた。交差点を曲がり、人ごみを抜け出してやって来た裏通りに、チャイ屋があった。

 パキスタン・イスラム共和国
(Islamic Republic of Pakistan)

パキスタン/ラワールピンディ郊外
【パキスタン/ラワールピンディ郊外】

 路上の粗末な木の椅子に並んで腰をおろすと、チャイ屋のおやじはやかんで湯を湧かし、砂糖たっぷりの甘いミルクチャイを出してくれた。少し冷ましてからでないと熱くて飲めなかった。

「アフガンどうする?」

 僕はそろそろと尋ねた。アフガンの後、僕はパキスタンに戻って中国へ向かう予定だったが、ゴッチンの次の目的地は逆方向のイランだ。

「北のほうも行きたいしな。そのままイランに抜けることは考えてへんよ」

 ゴッチンはあっさり答えた。パキスタン北部のフンザは、バックパッカーに人気の名所だが、三月では季節的にまだ寒い。

パキスタン/ロータスフォート
【パキスタン/ロータスフォート】

「アフガンから戻ってきたら、ちょうど春になっていいんちゃうかな」

 僕はペシャワールからカブールに入り、バーミヤンなどを周遊後、再びペシャワールに戻ってくることを考えていたが、彼女もその案に賛同してくれた。ラホールをもう少し観光したいという彼女の希望を踏まえ、四日後にラホールを発つことにした。

 三月十七日、僕たちはまずラワールピンディに向かった。首都イスラマバードでパキスタンの再入国ビザを取る必要があったのだ。

パキスタン/ロータスフォート
【パキスタン/ロータスフォート】

パキスタン/ロータスフォート
【パキスタン/ロータスフォート】

 三月二十日、米軍がイラク攻撃を開始した。衝撃の一報を、僕はインターネットで知った。ピンディもイスラマも町は静かだったが、夕方路上の新聞屋には、バグダット空爆の模様を載せたウルドゥ語の新聞が並んでいた。

 去年の正月を、僕はバグダッドで迎えた。その街が今、燃えている。何とも言えないやるせない気持ちと、無力感があった。

 翌日ペシャワールへと向かうバスターミナルで、僕は英字新聞を見つけて買った。

《US,UK invade Iraq(米英イラク侵攻)》

パキスタン/ラワールピンディ郊外
【パキスタン/ラワールピンディ郊外】

*   *   *

 ペシャワールはアフガニスタン国境にほど近いパキスタン辺境の都市だ。

 僕たちが泊まったのは新市街にあるツーリストインモーテル。長期旅行者の集まる宿として有名だったが、宿泊客は少なかった。

 情報ノートはあったが、最近古いノートが盗まれてしまったらしく、比較的新しい日付の書き込みしか現存していなかった。《心ない人間により古いノートは持ち去られてしまいました》新しいノートの最初の頁に、怒りのこもった説明書きがなされていた。持ち去っていったのは、自称ジャーナリストらしい。

「ひどい自己チュー野郎がいるもんだ」

 僕も一緒になって怒ったが、捨てる神あれば拾う神あり。アフガンから帰ってきたばかりという日本人旅行者と出会い、生の情報を彼から仕入れることができた。ガイドブックが発行されていないアフガンにおいては、旅行者同士の情報交換がなにより頼みの綱になるのだ。

パキスタン/ペシャワール
【パキスタン/ペシャワール】

 情報収集以外にも、すべき準備があった。

 役所に赴き、ハイバル峠部族地区の入域許可証を申請した。パキスタンとアフガニスタンの国境地帯は世界有数の部族地区となっており、国道上を除いてはパキスタンの国内法が通じないという特別な自治区となっていた。そのため外国人旅行者が通行するには、しかるべき許可証を取得する必要があった。

「アフガニスタンは今、好ましくない状況だ。気をつけなさい」

 事務官は流暢な英語でそう言いつつ、許可証を発行してくれた。

パキスタン/ペシャワール
【パキスタン/ペシャワール】

 また僕たちは旧市街のバザールを訪れ、シャルワールカミースを仕立てた。アフガニスタン旅行にあたっては、パキスタンとも共通の民族衣装であるシャルワールカミースを着ることが、外国人旅行者であると目立たない意味から好ましいとされていた。

 僕は灰青色の生地を選び、ゴッチンはラホールで買っていたという濃赤色の生地を持ち込んだ。さらに彼女は全身を覆える黒いチャドルも買っていた。僕の場合、生地代と仕立代を合わせて三百九十五ルピーであった。

 ツーリストインの近所には冷房の効いた西洋式のスーパーがあり、肉や加工食品はそこで揃った。野菜や果物を買うには、少し歩いてバザールに出かける必要があった。

「今のうちに野菜を摂っておきたいから」

 ゴッチンは料理上手でオムレツや肉じゃがを作ってくれた。栄養補給も万端で、いよいよアフガニスタンに挑むべき準備が整った。

できごと 距離
2001 05 26 アメリカ 旅立ち 空路アラスカへ
08 05 メキシコ トゥーラ手前
5000
11 11 トルコ イスタンブール手前
10000
2002 04 10 ジンバブエ ビクトリアフォールズ先
15000
08 10 イラン マクー~マルカンラル間
20000
10 19 パキスタン ワガ国境を越えて、インド入国
25000
11 03 インド プシュカル先
26000
12 03 スリランカ 飛行機にて入国(コロンボ)
19 インド 飛行機にて再入国(チェンナイ)
2003 01 01 バラナシにて年越し
04 ブッダガヤに到着
16 ナーランダ付近
27000
21 ネパール 自転車にて入国(ビールガンジ)
24 カトマンズ到着
02 15 アンナプルナ内院、標高4000メートルに到達
20 ポカラ~タンセン間
28000
26 インド 自転車にて再々入国(ネパールガンジ)
03 02 仏教八大聖地巡礼達成
03 ビワール先
29000
07 再び、デリー到着
12 パキスタン 自転車にて再入国(ラホール)

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