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ふねしゅーの日本探訪/其の拾捌 子連れクルーズ 水都大阪



日本第二の都市は、水の都だった。大阪城から道頓堀へ舟の旅


水都大阪を舟で行く 大阪城から道頓堀へ

 大阪で舟に乗った。大阪城から道頓堀というコースで、所要およそ50分、大阪の都心部を水路から眺めるという面白い旅だった。

 今夏大阪は、川の街を謳い「水都大阪2009」なるイベントを開催している。市役所が位置する中之島(名のとおり2本の川に挟まれた島になっている)界隈をはじめ、市内中心部をロの字形の水路が走っている大阪、かつての水運を見直し、水をテーマに街の魅力を盛り上げようという試みだ。

 私は関西出身ではないので(関西人でもそうかもしれないが)大阪が水の都だと言われてもいまいちピンと来ない。しかし、だいたい世界の歴史ある町というのは川や水辺を中心に人口が集まり発展してきたのであって、商都といわれる大阪も同様であることは想像に難くない。

 東京にも浅草と台場を結ぶ水上バスがあるが、大阪にも水上バスがあり、大阪城~道頓堀は、最近できたばかりの新コースとのこと。連休中ということもあって混んでおり、1時間に1便の舟が2時間待ちだった。大阪城の水上バス乗り場からは、ほかにも中之島を巡るアクアライナー(25周年だとか!)や、秀吉クルーズなる特別企画便も出港しており、外国人グループも含め大いに賑わっていた。

水都大阪
【水上バスから大阪城の眺め】

 私たちを乗せたアクアminiは30人乗りで、屋根のない、平たい甲板だけの筏のような舟、操縦士兼案内人のおっちゃんの軽妙な語り口と共に、まずは木々の合間から一瞬だけ覗いた天守閣を眺めつつ、さっき昼寝に入ったばかりの2歳児を「今寝るアホがどこにいる」と叩き起こし、いざ出発となった。

 大阪城を後にして、まもなく前方に巨大なアヒルが見えてくる。ぷかぷかと水路に浮かんでいる。案内人のおっちゃんいわく、水都大阪のイベントにあわせてオランダ人が作ったものらしく、外観はお風呂のおもちゃとして定番のあれだ。しかしちょっとしたビルくらいの大きさがある。

「夜はけっこう不気味です」

水都大阪
【川に浮かぶ巨大なアヒル】

 イベントの中心会場である中ノ島を横目に、舟は左折する。進路は南、東横掘川を進むのだ。残念ながらこの川は、空を奪われし川。つまり阪神高速の高架が空を塞いでいる。首都高と同じ構図、いかに昭和の経済成長が水路の文化的価値を無視していたかが分かる象徴的光景だ。

 でも、この東横堀川に最大の見所がある。水門だ。信号があり、水門が閉ざされ、放水され、水位の調節が済んだら、前方の水門が開いて出発進行。パナマ運河と同じ方式の(閘門によって船の水位を上下して通過させる)水門らしい。水道局の職員から乗客全員に水門の通航証明書が配布された。こういうのは特別感があってちょっと嬉しい。

「通航を希望する際は3日前までに申請を」などと壁に案内板が貼り付けられている。

 その説明をもう少し詳しく読みたかったのだが、舟はそのままスルスルと水門を通過、上空塞がれた薄暗い水路を今少し進むのであった。

 やがて水路は直角に曲がる。東横堀川から道頓堀川へと川の名称が変わり、上空を塞いでいた高速とはおさらば、一路明るい気分になって大阪最大の繁華街へと向かう。高速道がなくなり空を完全に塞がれることはなくなったが、橋が非常に多く、その桁は水面から手が届くくらいに低く、あたかも次々とトンネルをくぐり抜けているかのようだ。

「危ないので立ち上がらないように」とおっちゃんの注意が飛ぶ。

水都大阪
【東横掘川の水門】

 そして道頓堀の中心、通称ナンパ橋の界隈、多くの買い物客や観光客でごった返しているエリアだが、水辺の風景が一転した。それまでは、水路に面したビルというビルが、水路に背中を向けていた。まるでそこに川などないように、水路が無視された街の造りをしていた。舟から見えるのはエアコンの室外機や排気孔、何年も開いたことがないような薄雲った窓ばかりであった。

 一転、街が水路を歓迎していた。水辺に沿って散歩道が造られ、カフェやレストランなどいくつかの店は、玄関や看板を川の側に向けていた。当然、道行く人々の視線が「あ、舟や」という感じで私たちに注がれる。

 まもなく観覧車を背負った某激安雑貨店の前で、船着き場に到着する。おっちゃんが「この観覧車、故障して部品が手に入らないらしく、止まったままになっとります」と蘊蓄をくれる。

 大阪城からの舟旅も、いよいよ佳境である。

 道頓堀の船着き場で半数くらいの乗客が降りる。中にはここまでの時間の大半を寝ていた家族もいた。もったいない。うちなどは寝かけていた二歳児を起こしてまで乗ったというのに。

水都大阪
【道頓堀、水辺の風景】

 道頓堀からあと10分ほど、川沿い散歩道がまだ整備中で工事の鉄板に囲まれている一帯を抜け、湊町リバーサイドへ。がらんとした空間にデッキが造られ、数人の若者たちが小型の自転車を乗り回していた。端には巨大なターミナルビル。距離的にはなんば駅が近いらしく、大阪としてはここを水運の一大ターミナルにしたいようだ。

 私たちが乗ってきた舟以外に、この湊町や道頓堀を拠点にしている船会社があるようで、飲食付きのクルーズなどを宣伝する看板が建てられていた。

 下船後、歩いて道頓堀へ。通称ナンパ橋の界隈は相変わらず凄まじい人だかりだが、先程舟から眺めた川沿い遊歩道は、雑然さも少し解消されている。以前は死んだ空間だったところが水路に目を向けたことで蘇っている様子が、感じ取れる舟旅だった。地盤沈下しているといわれる大阪が、こうした水都再興の取り組みによって、個性を取り戻し蘇るのかもしれない。

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