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『ビルダーバーグ倶楽部』 ダニエル・エスチューリン著

陰謀論者のトンデモ論か、国際政治の真実の姿か




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 ビルダーバーグ会議という組織を聞いたことがあるだろうか。日本のマスコミでその存在が語られることは皆無に近いが、欧米の政界、財界を代表する重鎮たちが非公式に一堂に会し、世界の運営方法を語る極秘会議であるといわれている。

 歴代のアメリカ大統領も、ヨーロッパ諸国の王室も、ロックフェラーやロスチャイルドといった名だたる財閥も、そして米3大ネットワークをはじめとする世界の主要マスコミも、おしなべてビルダーバーグに関わっているとされ、そこで討議された内容には厳しい情報統制が敷かれている。

 本書はビルダーバーグ会議が、創設以来いかに国際政治に影響を与え続けてきたか、あるいは今後いかに世界を支配しようとしているか、「真実」を知らない一般市民に警告する内容となっている。またビルダーバーグの関連組織であり、日本もその一極に加わっているとされる三極委員会についても章を割いて言及がある。

 本書の後半部、世界中で利用が進んでいる本人認証機能付のカード(いわゆる電子マネーなど)が、個人個人の消費の監視につながるというくだりには、ぞっとするものがある。

 「真実」と敢えて括弧書きにしたのは、ここに書かれている内容がどこまで本当なのか、判然としないからである。話が時系列ではなく、固有名詞や団体名など用語の説明も不親切、翻訳物にありがちな文章のとっつきにくさもあって、非常に分かりにくいのだ。読む人によっては、こんなものは陰謀論者のトンデモ本だと一蹴するであろう。

 しかし、その上でなぜこの本を紹介するかといえば、ビルダーバーグ会議の存在自体は確からしく、なおかつその情報源があまりに少ないからである。

『ビルダーバーグ会議とは、毎年1回、アメリカ、カナダとヨーロッパ諸国で影響力を持つ約120人が集まり、政治経済や環境問題なども含む多様な国際問題について討議する完全非公開の会合である。 (中略)
 1991年の会議には、大統領に当選する前のクリントンが出席している。クリントンは大統領任期中の2000年にも、会議開催中にたまたま近くを通りかかったという名目で、飛び入り参加した。1998年にはイギリスのブレア首相が飛び入り参加している。現職の首脳が参加して意義があるような重要な秘密会合なのである』
(田中宇の国際ニュース解説・2004年6月19日記事より)

『政治家と財界指導者の議論が記録に残されないため、ビルダーバーグの年次総会は(公に開かれた民主的な手続を避けているという)多くの批判と多数の陰謀説の対象となっている。 (中略)
 ビルダーバーグの本来の意図は、有力な個人間の非公式の集まりによって、西欧と北米の理解を促進することであった。 (中略)
 年次総会の開催地は秘密ではなく、参加者名簿と題目については公に入手可能だが、議事内容は極秘であり、出席者は何が議論されたか口外しないことを誓約させられている』
(ウィキペディア英語版より)
(2007年1月12日掲載)

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