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世界には大きく分けて紙文化圏と水文化圏の二つがあります。日本は紙文化圏に属しています。アメリカもイギリスも中国も紙文化圏です。水文化圏の代表としてはインドやエジプトなどが挙げられます。 なんの話かといえば、そうトイレ、つまり排泄の話です。紙を使うのか、水を使うのか、世界には大きく分けて二つの方法があります。 ●水文化圏 紙を使う方法に慣れ親しんでいる私たちとしては、水で洗うなんて原始的なやり方だと思ってしまうかもしれません。水を不浄とされる左手ですくって洗うのですが、失敗して付着してしまうこともあります。 しかし水を使う方法に慣れ親しんでいる人からすると、紙で洗うなんて不潔なやり方だと思ってしまうそうです。紙なんかでは汚れが充分にとれないではないか、というわけです。 私は旅行中しばらくの間、ずーっと水文化圏での生活が続いたことがありました。手桶に水を汲んで左手ですくわなければいけない場合もあれば、ホースが用意されていたり、それ用の水の噴出口が据え付けられていて容易に命中させられる場合もありました。最後の水の噴出口というのは、きれいな宿などで見かけることができたのですが、つまりはウオッシュレットと同じです。 水文化圏は比較的暑い国、あるいは砂漠の多い国であることが多く、これは慣れてくると冷たくて気持ちいいものでもあります。要領を得てくれば左手が汚れる心配もありません。パキスタンから中国に入って久しぶりに紙文化圏に戻ってきたときは、紙では全然汚れがとれていないような感覚があって、紙に慣れ直すまでにしばらく時間を要したことを覚えています。
【マレーシア/ティオマン島の宿の便所】
●大自然の中で 前置きがずいぶん長くなりました。これはチャリダー養成講座ですから、チャリダーにとっての便所問題を考えなくてはいけません。チャリダーにとっての便所問題とはつまり、自転車で移動中に催した場合はどうしたらいいのかということです。 もちろんそこに町や集落があり、借りられるのであれば、借りればいいのです。問題は何もないところ、あるいは集落なのだが、便所がないところ(つまり地元の人はみな野糞をしているというところ)の場合です。いま野糞と書きましたが、チャリダーたるもの立ちションはもちろん野糞を恥ずかしがっているようでは務まりません。 さて。そのときに便利なのが水です。チャリダーにとって水がなにより大切な命であることはすでに以前の回で触れましたが、水にはこんな頼りになる使い方もあるのです。紙は使用済みのものをそのまま持ち運ぶのであればともかく、ゴミになってしまいますので、地球に優しいチャリダーを目指すのであれば、水が好ましいといえるのです。 ●立ちション 男に生まれてよかった。と私が思うのは、なによりトイレがない場所で「小」を催したときです。チャリダーであれば、ほかに何もない大砂漠で、あるいは海沿いの道で大海原にめがけて、放水するというのも、一つの思い出となるでしょう。 ちなみに、インドやパキスタンにおいては、立ちションならぬ座りションが一般的です。だぶだぶの衣服をたくし上げて、しゃがんだ姿勢でチョロチョロと流すのです。世界は広い。国が違えば、男の「小」のやり方も違うのです。
【南アフリカ/アフリカ最南端アグラス岬】
●女性の場合 ここまで読んで、外でするなんて、そんなことできるわけないじゃない! しかも立ちションの話までして、とお怒りの女性もいらっしゃるかもしれません。でも、トイレがないという事態は、男性よりもむしろ女性にとって悩ましい問題でしょう。 女性チャリダーについては、また別の機会に書こうと思っているのですが、登山者の言葉で「花を摘みに」という名言もありますと、今回はそれだけ述べておきます。 ●あるものを使いこなす 私は中国西部の新彊ウイグル自治区を走っていたときは、宿では中国式に紙が用意されているのでそれを使いましたが、走行中下痢に苦しめられていたときなどは水を用いていました。ウイグルはイスラム圏ですから、もともと水文化圏なのです。br> 郷に入れば郷に従えとはよくいいますが、紙か水か、どちらも自在に使いこなせるようになってこそ、世界を目指すチャリダーたりえるのではないでしょうか。 さて。ときと場合と用意のよしあしによりますが、紙も水も用意がなくて困ってしまうことが、ままあります。チャリダーが走行中に水がないというのは大問題なのですが、行程と喉の渇きとを考えると、貴重な水をとてもそんな用途に使えないという切羽詰まった状況が充分にありえます。 ここだけの話、私は様々なものを使ったことがあります。 たとえば葉。誰しもそうだと思いますが、そういう事態に追い込まれたとき、まず間違いなく陰を探すはずです。岩陰だったり、草陰だったり、とにかく道路からなるべく見えない場所まで駆けていってしゃがむはずです。草陰であればそこに葉が茂っています。たまにギザギザして痛いやつがあります。あるいは新聞紙とか、紙パックの切れ端とか、布切れとか、捨てられているものが役に立つこともありました。 チャリダーにはそんな臨機応変さも要求されます。もちろんたいがいそこまで追い詰められるのは、手持ちの紙は使い果たし、水は飲み水として確保しなければいけない、なのにお腹は下痢気味。そういう状況下です。我慢できる場合は、ちゃんと次の大きな町まで堪えましょう。
【イラン/ペルシア帝国の遺跡ペルセポリス】
念のため。これは野糞のすすめではありません。あくまで節度あるチャリダーとして、それでも緊急事態に陥ったとき、どうすればいいかという心構えのようなものとして御理解下さい。 |
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